AI / DATA / AUTOMATION
駅別の賃貸物件を毎晩自動収集して見える化
賃貸市場の定点観測
CHALLENGE
課題
賃貸物件の想定家賃は、募集中の「表示価格」を見て決めがちだが、それは言い値であり、実際にいくらで・どれくらいの速さで決まったかは見えない。しかも条件の良い物件ほど早く消えるため、募集中の物件だけを数えると成約を数倍過大評価してしまう。「どのエリアに、何を仕込むか」の初動判断に使える市場データを、外部サービスに頼らず自社で持ちたいという相談だった。
APPROACH
取り組み
- 公開されている募集情報を、クライアント自身の判断材料として収集する。まず公開済みの過去十数年分の募集履歴を読み、その上に現行掲載の毎晩の観測を積む二層構成
- 「消えた掲載=成約」と素朴に数えない。観測中に決着していない募集を扱い、在庫と流入から推定する設計にした
- 「取れたか」の機械判定を心臓部に置く。ページの終端到達、宣言件数との検算、起動記録、異常時の警報。静かに失敗しない
- 掲載業者が入れ替わっても同じ部屋を追い続けられるよう、建物・階・部屋番号で部屋キーを設計
- アクセスは固定間隔・夜間1回に限定し、ブロックの兆候で自動停止する安全弁を持つ
- 見える化は「データの一覧」ではなく「問いへの答え」に。駅×面積帯の手薄さに「実際に速く・高く決まっているか」を突き合わせ、機会/要注意/判定材料不足をバッジで機械判定する。記載習慣の差でしかない数字は比較させない
- 物件種別を混ぜず種別を軸にし、供給量は棟でなく戸で数える
TECH
技術
- Python 3 / Playwright(取得)、YAML 設定
- 生ログは gzip JSONL を正とし、DB を持たない(後から集計を作り直せる)
- 毎晩1回の自動実行。起動記録・キルスイッチを運用ファイルで管理
- 集計は Python + NumPy → JSON → 外部依存なしの静的 HTML 1ファイル(ブラウザで開くだけ)
- 公開統計との突き合わせ: 国勢調査(駅周辺の人口・世帯構成)、国土数値情報の地価公示
- 検証スクリプト群で画面に載せる数字を機械照合(8,000件超・不一致0)
OUTCOME
結果
稼働初日に対象エリアの全駅を完全取得(部屋行約11万・失敗0)。初日の検算で、大型建物の一部の部屋が初期表示に含まれない構造を検知し、その日のうちに修正した。以後は毎晩の自動観測に移行し、掲載開始・掲載終了の日単位の記録が積み上がっている。駅別スカウティングツールは先方に共有済みで、案件情報が来る前から狙う駅×面積帯の当たりを持って動くための画面として使われている。
SCALE
規模
- 毎晩 約1,800ページ・部屋行 約11万件
- 過去の募集履歴: 1万棟超・十数年分
- 設備タグ166項目を12分類、画面掲載数値は8,000件超を機械照合
OTHER